弁論大会最優秀賞
 
 
   
女性セブン「子供が変わる進化系塾」で当塾紹介    
   子供を通わせたいセレクト17特集に掲載されました2005.6.9号                            
   
  「社会を明るくする運動」高知市中学生弁論大会最優秀賞 2005.10.1

高知市の各中学校の代表20名の中から朝倉中2年の内田紘暉君(針木教室)が見事、今年の最優秀賞に輝いた。
一昨年も、谷本久美さん(針木教室)が「中学生の主張」で最優秀賞を獲得しており、塾生の快挙が続いている。
人と人のきずなを、大切に思うこころ。
それが失われていくことを痛むこころ。
愛する家族を懸命に守ろうとするこころ。
「おもい」を伝えることは、とても勇気のいることだ。
強い人は優しい。優しい人の勇気はひとの心にしみる。

彼の体験にもとづいた貴重な意見は、多くの人の胸を熱くした。
そんな感動のパワーが秘められている内田紘暉君の作品をここに紹介したい。                                                 
 


自閉症と弟  内田 紘暉(中2) 
みなさん、実は、僕の弟は自閉症という障害をかかえています。
自閉症とは、一言で言えば「コミュニケーションの苦手な障害」です。
例えば、「お名前は?」と聞かれてもオウムがえしになったり、何か気に入らないことがあると、壁に頭を打ちつけたりします。
また、非常に強いこだわりを持っていて、部屋の家具などの位置が変わると、それを必死に戻そうとします。
しかし、弟は全くコミュニケーションがとれないわけではありません。悪い事をしたときは、素直に「ごめんなさい」と言えます。言葉の意味は理解できなくても、ここでは「あやまるべき」だと、わかっているのです。

小さい頃の僕は、自閉症のことをよく知りませんでした。
「なんで、弟は普通の小学校に入れないんだ」
弟が養護学校に入学した時、僕はそれを素直に受け入れることができませんでした。
しかし、弟と一緒に生活する中で、弟のことが少しずつ理解でき、その疑問も消えていきました。
弟は「障害と共に生きるため」に養護学校に通っているのです。

僕も少しずつ自閉症についてわかるようになってきましたが、予測不可能な行動をする弟と、どう関わっていけばいいか、いつも、考えながら行動しています。
弟は、いったい何におびえ、何に怒り、何にこだわっているのか。
「弟の心の中が読めたらいいのに…、そうすれば、弟がもっと楽に生活できるのに…」
と何度も思いました。

しかし、今では、弟と一緒に車のレースゲームをしたり、ちょっとした話もできるようになりました。弟が、
「お兄ちゃん、いっしょにゲームしよう」 「ここ教えて」
と言ってくれたときは、兄として頼りにされていると思うから、とても嬉しいです。
僕と弟は普段、仲がいいのですが、弟が泣き出したときは、僕も機嫌が悪くなり、つい、弟を怒ってしまいます。そうすると、よけいに泣き出してしまいます。
でも、そういうところも弟らしさなんだと、最近は思えるようになりました。

昨年、弟は室戸で「ドルフィンセラピー」というものを体験しました。ドルフィンセラピーとは、イルカとふれあい、いろいろな体験をして、今後の生活に活かすというものです。
この体験で弟は、イルカと一緒に海に入ったり、自分からえさをあげたりしました。そして、びっくりしたのは、イルカにのって泳いだことです。その時の弟の誇らしい顔を見た僕は、思わず、「すごい!」とさけびました。
そして、今年、弟は夏休みに作業所というところで畑仕事などをしました。朝から夕方まで一生懸命働いていたのです。本当に偉いな、と思いました。
このように、いろいろな経験を積み、弟は成長しています。


今の世の中には、自閉症という障害を「精神的な病気」だと勘違いしている人たちがたくさんいます。「ひきこもり」の子供だとか、「うつ」の子供だとか、親の愛情不足だと思っている人も少なくありません。
しかし本当は、自閉症はそういった心理的な原因で生じる情緒障害ではなく、先天的に、脳内の情報処理に障害があるのです。けっして、心の障害ではありません。

僕の母も、「親のしつけが悪い」「迷惑だ」などという言葉を周りから言われ、しばしば、つらい思いをしてきました。弟も、生活する中でいろいろな誤解を受けています。
それでも僕たち家族は、周りに気をつかいながらも懸命に弟を守り、育てているのです。

このような言葉をなげつける人たちは、自閉症という障害を理解しよう、いや、知ろうとしたことがありますか。
こころない言葉や無理解が、いかに自閉症を持つ人や、その家族を傷つけているか、考えたことがありますか。
自閉症の子供を持つ親や家族は、毎日、はかり知れない努力をしながら、手探りで子供を育てているのです。

弟は確かに障害はあるけれど、僕にとっては大切な弟です。
一緒に遊び、話をし、笑い、泣く…
どこにでも見られる兄弟と同じです。
障害障害っていうけれど、理解してくれれば健常者と同じだということも分かってください。
そして、そのひとにあったつきあい方をしてほしいと思います。

障害者と「ともに生きる」社会、弟を受け入れ、支えてくれる社会、そんな社会を僕は創っていきたいと思います。それは、弟のためではありません。
差別のない社会が、すべての人間が幸せに暮らすことのできる社会だと思うから。
そのためにも、無理解による身近な差別をなくすことから、一歩、一歩、僕は取り組んでいきたいと思います。
           僕たちの明るい未来のために!
    
                     
 
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